Category長編「聴こえますか」(完) 1/3

聴こえますか(13)《終》

 腕を伸ばす距離だけ隔て、頑なに視線を落としたままの横顔に向かって、トゥ・ルミは静かに問いかけた。「また、メールしてもいいですか?」頬に力を入れるようにし、数回瞬きをしてから、カン・マエは応えた。「・・・ああ」「これまでよりも、いっぱい送っちゃうかもしれないけど、それでもいい・・・?」「ああ」「時々・・・電話しても?」電話に関しては韓国との時差だとか、ルミの聴力のことだとか、一瞬のうちにいくつか思...

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聴こえますか(12)

 まるで、今さらながら彼女の告白を受けているかのごとき落ち着かない心持ちで、組んだ足のひざに右肘をついて、その手で顔を隠すように口元を覆って視線を逸らせていたカン・マエが、まだ続いているルミの言葉に、「―――ん?」と言うように怪訝な顔をした。眉間にくっきりと1本の縦じわが刻まれる。「――― 私の想いに応えてもらえなくても、たとえ先生の心にもうほかの女性(ひと)がいても・・・先生がその人といることで安らい...

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聴こえますか(11)

振動を続ける携帯を取り上げ、いらえを返すと、まさに今思い起こしていた弟子からだった。「――先生」と、こちらの状況を窺うような声音で、実際に言葉でも「今、いいですか?」と尋ねてくる。「かまわないが?」と答えると、電話の向こうからがさがさと慌しいやりとりが伝わってきて・・・。―――そして。突然、電話口から、彼女の声が飛び込んできた。「先生!先生、トゥ・ルミです」とっさに返事に詰まった。一昨日のような、おそ...

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聴こえますか(10)

キム・ジュヒは、肌触りの良いシーツと羽毛布団の間で寝返りをうつと、うっすらと目覚めて見るともなく隣のベッドに視線を移す。穏やかな寝息を立てて、トゥ・ルミが寝ているのが見えた。自分もあとひと眠りしようかと目を閉じかけて・・・・・・・・・ん?・・・ルミさん――?「――――・・・っ!?」突然ジュヒは覚醒して、思わずがばっと起き上がり、「ルミさんっ?」と声をあげてしまった。聞こえない彼女は、それでもすやすやと寝...

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聴こえますか(9)

  ――― カチャリ、と ―――重厚な造りのスイートのドアが閉まると、つい今しがたまで5人がいた同じ空間に、立ち尽くすように2人きりで向かい合った。互いの呼吸を間近に受け止めるほどの距離。数時間前に再会してから、これほど近くに添ったことは初めてだと、そのときルミは気づいた。いや、それを言うなら、ソクランであれほど共有した時間の中でも、これほどまでに彼に添いほとんどその腕に囲い込まれるように間近にいたこと...

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About this site
韓国ドラマ「ベートーベン・ウィルス」(ベバ)に感染し、勢い余って二次創作・二次小説(SS)に進んでしまいました。 妄想では続編も含めてひたすらカン・マエとルミの恋愛面のみ描きます。
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韓国ドラマ「ベートーベン・ウィルス」に感染し、期間限定でカン・マエ万歳な妄想(二次創作)を綴っていきたいと、突如ブログを立ち上げた猪突猛進型主婦。
恋をしなくても生きていけるけど、恋愛要素がないと生きていけない。